新藤兼人の凄み

ここ暫くの間、稽古と本番で忙がしく全くご無沙汰だったので、久しぶりにTSUTAYAへ行きました。
おお、久しぶり。
元気にしてた?



さて、TSUTAYAといえば暫く近代映画協会の作品にはまっていたのですが、国立店にある物は全て観尽くしていました。
そう思っていました。
今日行くとなんと「石内尋常高等小学校 花は散れども」が置かれてあったのです。
今まで気付かなかっただけ?
近代映画協会のパッケージは白黒時代のは特徴があって分かりやすいのですが、カラーになってからはその特徴が無くなったので見付けにくいです。
といっても最初に見付けた作品は「三文役者」なのですが。



「石内尋常高等小学校 花は散れども」。
新藤監督の喜劇的な部分の出た作品でした。
それから柄本明さんの市川先生役が素晴らしかったです。
あんな真っ直ぐで暖かくて、少し馬鹿で愛される役が似合うとは思いませんでした。
今までに観た柄本明さんの役の中で1番好きです。
老衰によって言語障害に陥り寝た切りになった後も学校へ行こうとしたり、自分の足で歩こうとしたりするシーンでは、痛々しくも若き日と変わらぬ前向きな姿勢を好演されていました。
98歳になっても映画を撮る新藤監督と少しかぶって見えました。



卒業後上京して売れない脚本家として生活している良人。
豊川悦司が演じていましたが、これはイマイチでした。
芝居を抑えるのは良いし説明的な芝居をするのは良くないけど、これは熱量までもが抑えられた感じ。
雰囲気芝居、かっこつけに見えました。



三吉役の六平直政さんはちょっとベタにやりすぎて、浮いていましたが。
なんだか歌舞伎的というか、1人だけアニメのキャラクターみたいでした。
作り過ぎて「それっぽい芝居」に見えて、見ていて恥ずかしかったです。



大竹しのぶさんはいつ見ても素敵ですね。
素直。
良い芝居じゃなくて、自分の芝居をしているから凄く素敵です。
凄いなあ。
こんな俳優になりたいものです。



大杉漣さんはピカの影響で顔半分が爛れて少しおかしくなった役を演じられていました。
似合うなあ(笑)
凄くアクの強い役なのですが、浮いて見える事もなく、必要な時に出てくれて必要でない時には引っ込んでくれる出川哲朗のような巧さがありました。



木場勝己さんは1シーンだけだったが、良人の父役で出演されていました。
今まで木場さんといえばコミカルな印象でしたが、この役は真逆。
しかしとっても印象的で、素敵なシーンにさせていました。
木場さん、素敵。



これまた1シーンだけの出演でありながら物凄い印象を残したのが三谷昇さん。
どれほど怪優なんだ(笑)
僕が初めて三谷さんを観たのはライフワークにされている舞台、別役実さんの「メリーさんの羊」。
初めてあの演技を観た時の衝撃ったらありません。
それから別役さんの「病気」だったかな?
神様役をやってらしたんですよね。
それがまた素晴らしく不条理な雰囲気を醸し出していて、物凄く面白かったのを覚えています。
もう大好きです!






市川先生みたいに皆に愛される人間になりたいな。
そう思った今日この頃