何よりも恐ろしいのはその感性だ

伊丹十三監督の監督デビュー作「お葬式」を観ました。



伊丹監督の作品を観るのは「大病人」「たんぽぽ」「あげまん」に続き4作目。
この作品には「たんぽぽ」で素晴らしいダンディズムをみせた山崎努さん、アクの強さNo.1の大滝秀治さん、監督の奥さんの宮本信子さん等、常連の方々をはじめ、菅井きんさんや笠智衆さん、江戸屋猫八さん、高瀬春奈さんが出演されていた。



山崎努さん、大滝秀治さん、笠智衆さん、高瀬春奈さん、江戸屋猫八さん、菅井きんさん、藤原釜足さん、素晴らしく素敵でした。



ダンディな山崎努さんが愛人の一見地味な高瀬春奈さんに振り回され、でも言われるがままになっている様は本当に面白いです。
いやしかし、あんなダンディなオッサンになりたいものです。
・・・この身長でダンディだとギャグか。



大滝秀治さんは少しボケたお爺ちゃんを演じていました。
動いてなくてもおかしくなるのは流石です。
僕はまだまだ動いてないと「素になっちゃっている」と言われます。
動いていてもろくな演技出来ないのですが(笑、えない)



笠智衆さんは浄土真宗の住職さん役で出演です。
もーーーっ素朴。
こういう役をやらせたら右にも左にも出る者はいません。
山崎さんのような男性も憧れますが、笠さんのような柔らかい男性も魅力的ですね。
大好きです笠智衆さん。



高瀬春奈さんはうっとおしい女性が本当にお上手でした。
愛人の家のお葬式に来て、酔っ払って奇声発して、野外でSEXしてくれないと嫌だと言って駄々をこねて、散々おちょくった挙げ句爆笑して帰っていく・・・(笑)
恐ろしい。
でも凄いリアルな演技でした。



江戸屋猫八さんの雰囲気はこの作品をもう1ランク押し上げています。
ナイスキャスティング!



藤原釜足さん。
う、上手い・・・。
本当に耳が遠いんじゃあないのか、この人。
演技に見えない。
隠し砦の三悪人」の又七役で魅せた動の演技とは違う、日常に根付いた静の演技。
素晴らしい。



しかしやはり、この作品で1番心を鷲掴みにしたのは菅井きんさん。
挨拶のシーンには本当に胸が痛くなります。
あの大滝秀治をして「全身鳥肌が立った」と言わしめた長台詞。
なんだってこんな台詞が言えるんだ。
そしてラストシーン。
遺品を庭で燃やすカット。
胸、詰まる。



伊丹さんは面白いセンスの持ち主だと再認識。
本当に1930年代生まれの感性かと疑ってしまいます(笑)



伊丹十三、恐るべし。






あー!
そうそう!
忘れてはいけないのが最初の食事のシーン。
伊丹十三のお洒落感性、炸裂。